伝えるために、少しだけ深掘りを抑える

──IRI人財募集ポスター案づくりに参加して

このたび、IRI-Groupの人財募集ポスターに向けて、キャッチコピー候補と図案の方向性を考える機会をいただきました。

今回のポスターは、総武線・稲毛駅構内などでの掲示も想定されている、人財募集用の大型ポスターです。研究、広報、事務、編集、運営、その他さまざまな仕事に関心を持ってくださる方へ、IRI-Groupの活動をどのように伝えるか。そこを考える作業でした。 

ポスターというものは、とても不思議です。

長い説明文のように、じっくり読んでもらえるとは限りません。駅を歩く人が、ふと目にする。その一瞬の中で、「少し気になる」「なんだろう」「こんな場所があるんだ」と感じてもらう必要があります。

だからこそ、言葉は短くなければいけない。
けれど、短ければ何でもよいわけではありません。

IRI-Groupが扱っている領域には、まだ十分に説明されていないもの、まだ社会の中で言葉になりきっていないもの、あるいは、まだ問いとして立ち上がっていないものも含まれているように感じます。

そのような活動を、ただ目立つ言葉で飾るのではなく、できるだけやわらかく、誠実に、そして押しつけにならない形で伝えるにはどうすればよいか。

今回、私が考えたのは、そこでした。

私自身は、物事を深く掘り下げて考える癖があります。
言葉ひとつを考えるだけでも、「なぜその言葉が人に届くのか」「問いはどこから生まれるのか」「見えるとはどういうことなのか」といった方向へ進んでしまいます。

それはそれで大切な探究ではあるのですが、今回は駅などに掲示される人財募集ポスターです。

読む方に圧をかけるのではなく、
「あ、少し気になる」
「こんな場所が稲毛にあるんだ」
「少しのぞいてみたいかもしれない」
と思ってもらえることが大切だと考えました。

気をつけないと、キャッチコピーそのものを研究材料にしてしまいそうだったので、今回は少しだけ“けせら成分”を抑える努力をしました。

そのうえで、候補として考えた言葉のひとつが、次のものです。

見えないものは、ないのではない。
まだ、見える条件がそろっていないだけかもしれない。

この言葉には、未知のものを特別扱いしすぎるのではなく、かといって最初から否定もしない、という姿勢を込めました。

たとえば、夜空を見上げるとき、私たちは星の美しさに目を向けます。
そのとき、空気そのものはほとんど意識されません。けれど、朝になり、光が差すと、空は青く見えます。そこに何もなかったのではなく、見える条件が変わったことで、存在の輪郭が現れたとも言えます。

私たちの身の回りにも、まだ見えていないものがあるかもしれません。
まだ答えがないものだけでなく、そもそも疑問として立ち上がっていないものもあるかもしれません。

そのようなものに、無理に結論を与えるのではなく、まずは見える条件を探していく。
その姿勢は、IRI-Groupの活動にも通じるものがあるのではないかと感じました。

もうひとつの候補としては、次のような言葉も考えました。

答えを探す前に、
まだ生まれていない問いがある。

こちらは少し私らしさが強く出ている言葉かもしれません。

ただ、ポスターとして考えると、あまりに深くしすぎると、募集の言葉というよりも論考に近づいてしまいます。そこで、実際の候補としては、できるだけ短く、やわらかく、開かれた印象になるよう意識しました。

今回の作業を通して感じたのは、広報という仕事もまた、ひとつの探究なのだということです。

研究そのものを行うだけではなく、
その活動をどう伝えるか。
どんな言葉なら届くのか。
どんな表現なら、まだ関わったことのない人にも入口を開けるのか。

そこには、思っていた以上に繊細な工夫が必要でした。

IRI-Groupには、研究だけでなく、広報、事務、編集、運営、環境づくりなど、さまざまな形で活動を支える仕事があります。

まだ見えていない可能性を、誰かに届く形にしていく。
まだ言葉になっていないものに、そっと言葉を添えていく。

今回のポスター案づくりは、その小さな一歩だったように思います。

これから少しずつ、私自身もIRI-Groupの活動に関わりながら、ここで行われていること、ここにある空気、そしてここから広がっていく可能性を、丁寧に伝えていけたらと思います。

執筆:けせら